2015年9月、多くの国民の反対を押し切って、安倍政権は安保関連法を強行採決しました。
これらの法律は、各界から憲法違反であるという厳しい指摘がされており、なによりも、日本が戦後70年間つらぬいてきた「戦争をしない国」のブランドを捨て、「戦争をできる国」にするものです。
戦前、スポーツ人たちも例外なく戦場にかりだされ、多くの若い命が奪われました。また、スポーツの多くが敵性と迫害され、人権が抑圧された社会の中で国民はスポーツをする権利も制限されました。 「スポーツは平和でこそ」はすべてのスポーツ人に共通の思いです。
当会は、違憲の安保法制の廃止をもとめてさらに声をあげていきます。
「次の100年を担う者として、8月6日の意味を深く胸に刻み、甲子園で躍動することを誓います。」
100年目の節目を迎えた夏の高校野球大会の選手宣誓には、特別のひびきがありました。戦後70回目の原爆投下による悲劇に胸をあて、過去の戦争で欠けた大会回数にむごさをおぼえ、戦没していった球児や競技者たちの無念さに思いを向けました。戦争の記憶を次の100年へ引き継ぐ意志の表明は、頼もしいかぎりです。
戦争のあやまちはけっして繰り返してはならない――スポーツ・体育を愛するものの痛切な思いです。
戦争は、人間の生命をはぐくむスポーツ・体育をないがしろにします。
戦争は、各人の個性を伸ばすスポーツ・体育とその組織を統制し、自由な活動を奪います。
戦争は、人びとの相互理解をうながすスポーツに、差別と憎悪を持ち込みます。
戦争は、暴力そのものであり、スポーツによる平和な交流を破壊します。
スポーツ・体育を奪い、破壊したのが、過去の戦争でした。この痛恨の歴史を教訓に、戦後70年、人権の尊重と恒久平和をかかげる憲法のもとでスポーツ・体育は展開され、「スポーツは平和とともに」を合言葉に社会に貢献してきました。このたゆまぬ努力こそスポーツ・体育を支える力であり、未来に引き継がれなければなりません。
しかし、安倍政権は、若い世代の意志も、スポーツ・体育を愛するものの努力も台無しにして、日本を戦争に巻き込みかねない「安全保障法案」の成立にやっきになっています。恒久平和と戦争放棄を明記した憲法9条に反して、日本を「海外で戦争をする国」に変えてしまいかねないこの危険な動きを見過ごすわけにも、許すわけにもいきません。
2020年には東京でのオリンピック・パラリンピックの開催を控えています。オリンピック憲章が定める「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励する」とのオリンピズムの目的を推進することが、ホスト国の政府に課せられた責任です。安保法制を強行することは、スポーツの交流にあらたに障害を持ち込みかねません。
違憲の「安全保障法案」をめぐって事態はいちだんと切迫しています。この時に、私たちスポーツ・登山・武道などを愛し、体育に携わるものは、戦争の悲劇を想起しつつ、“平和の力”であるスポーツ・体育にゆるぎない確信を抱き、未来に平和な日本を引き継ぐ決意を持って、「安保法制の強行反対」の意志を表明するものです。
いまこそ、スポーツ・体育の底力を発揮し、広く国民と連帯して立ち上り、警鐘乱打して危険な動きにストップをかけましょう。
2015年9月 安保法制に反対するスポーツと体育の会
名前 | 肩書 |
青沼 裕之 | 新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所事務局長 |
秋本 信孝 | スポーツ9条の会・千葉事務局長 |
雨宮 節 | 沖縄山岳連盟会長 |
伊藤 正一 | 日本勤労者山岳連盟顧問 |
伊藤 高弘 | 武蔵野美術大学名誉教授 |
岩波 道子 | 新日本スポーツ連盟副理事長 |
片岡 暁夫 | 元日本体育学会会長 |
川口 智久 | 一橋大学名誉教授 |
木原 成一郎 | 広島大学 |
栗岩 恵一 | ワールドカップアルペンスキー元日本代表 |
小林 秀一 | プロボクシング元日本ウエルター級チャンピオン |
佐野 裕 | 国立大学名誉教授 |
進藤 省次郎 | 元北海道大学教授 |
田中 新治郎 | 学校体育研究同志会委員長 |
田畑 健 | スキークラブこなゆき会長 |
永井 博 | 新日本スポーツ連盟会長 |
西本 武志 | 日本勤労者山岳連盟会長 |
廣畑 成志 | オリンピック研究者 |
藤元 理津子 | 日本勤労者山岳連盟副理事長 |
古沢 久雄 | 鹿屋体育大学名誉教授 |
三浦 二郎 | 新日本スポーツ連盟東京テニス協議会顧問 |
宮脇 善雄 | 岩手少林寺流空手道研究会 |
簗田 陽子 | 学校体育研究同志会常任委員 |
山下 高行 | 立命館大学教授 |
山西 哲郎 | 元日本体育学会会長 |
山本 徳郎 | 元日本体育学会会長 |
吉越 悦子 | 新日本スポーツ連盟全国ウォーキング協議会会長 |
和食 昭夫 | 新日本スポーツ連盟理事長 |
渡部 岑生 | 茨城大学名誉教授 |
山崎 健 | 新潟大学教授 |
本日14日、アピールの発表と記者会見をおこないました。
そこに寄せられたメッセージは以下の通りです。
ありがとうございます。
戦争法の違憲性と立憲主義の意義について
(2016年3月16日)
安保法制に反対するスポーツと体育の会 記者会見
(2015年9月14日)
安倍晋三政権が国会に提出した「国際平和支援法」と10本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」に反対するアピールを発表しました。 これに賛同する署名活動をおこなっています。メールやSNSなどで拡散いただければ幸いです。